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改正FIT法で未稼働案件一掃、テスラが家庭用に注力

買取価格の低下による事業者の淘汰が進み、コストを下げていける業者だけが生き残る。 FIT法改正で誰でも儲けられる時代は終わり、太陽光発電は住宅用の再活性化へ。 環境経営コンサルタントが語る今後の展望を紹介する。

FIT改正の目的の1つは未稼働案件の一掃

4月1日から改正FIT法が施行される。今回の改正の目的の1つが、「未稼働案件」の一掃だ。

買取制度初年度(2012年度)の事業用太陽光発電( 10kW以上)の価格は税抜きで40円/ kWh。それから、36円、32円、27円、24円と毎年下がり続け、2017年度は21円となる。この制度のお陰で日本の太陽光発電は急速に普及したが、副作用もあった。高い価格で認定だけ取っておき、コスト低下を待って着工し、想定以上の利益を得ようとする業者が続出したのだ。しかも、そういう案件の中には、土地の取得、資金調達などに問題のあるものも含まれている。

このような副作用を抑えるため、新認定制度では、土地や資金を確保し、事前に電力会社と「接続契約」を結ぶことが必須要件となった。また、すでに認定を取った案件についても、3月31日までに接続契約を締結しないと認定が失効する。

 

買取価格の低下に負けない不断のコスト低減が必要

FIT法改正で太陽光発電はどうなるのか。簡単に言えば、誰でも儲けられる時代は終わり、買取価格低下以上にコストを下げていける業者だけが生き残るということだ。2017年度の買取価格21円は2012年度の40円からほぼ半減だが、主要部材のコストは3分の1程度に下がっている。パネルはワット当たり150円、パワコンは50円、合計200円程度だったが、現在はパネル50円、パワコン10数円、合計60円程度。後は、工事費も下げていけば問題ないはずだ。

 

FITに頼らない自産自消型電力への移行

しかし、問題は残る。電力会社による出力制御だ。従って、将来的にはFITに頼らない自産自消型への移行が必要になる。その成功の鍵は蓄電池のコスト削減。

最近、象徴的なできごとが起こった。テスラ(Tesla)とソーラーシティ(SolarCity)が合併したのだ(2016年11月)。どちらもテスラCEOのイーロン・マスク(ElonMusk)氏が創業に関わった会社。テスラはEVメーカーだが、蓄電池も手掛けている。一方、ソーラーシティは、太陽光発電システムの設置を行う会社だ。テスラは2015年に家庭用蓄電池「パワーウォール(PowerWall)」を発売。2016年10月には、その2代目「パワーウォール2」(容量14kWh、インバーター内蔵)を発表した。

テスラは、同時に屋根タイルと全く見分けがつかない家庭用太陽光発電パネル「ソーラールーフ」を発表。「パワーウォール2」との組み合わせにより発電した電力の自家消費、電力系統への売電、緊急時用のバックアップ電源としての使用などが可能になる。もちろん、EVを充電することもできる。

これから重要になるのは家庭用市場の再活性化

筆者が目指す2030年の太陽光発電累計導入量は100 GW(1億kW)。しかし、買取価格の低下の他、適地の減少、出力制御への懸念などのため、業務用の先行きが不透明になってきた。従って、今後は家庭用市場の重要性が高まる。マスク氏も家庭用を重視しており、「すべての化石燃料発電を太陽光発電で代替するために必要な面積のほとんどは屋根で賄える」とコメントしている。日本も「マスク革命」に負けてはいられない。

 


環境経営コンサルタント(元東京大学特任教授)
村沢義久氏

米コンサルティング会社や大手投資銀行などを経て、2005年より、東京大学特任教授として地球温暖化対策を
研究した後、2013年より現職。化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱し、低炭素社会の実現に注力。著
書に『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』など。Twitter@murasawa


※『SOLAR JOURNAL vol.20』より転載

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