エコロジー TOPキーパーソン

ソーヤー海さんに聞く、地球のために今日できること

共生革命家のソーヤー海さんに、豊富な経験と熱い想いを語ってもらった。独自の「アーバンパーマカルチャー」の活動について、あるいは都市部における農活のヒントについて。

問題は、僕らが生態系から
切り離されてしまっている事

「なんだかみんな、ハードルを高くしたがるんだよね。食べ物を育てるっていうと、自給自足しなきゃ、とか、田舎に引っ越さなければ、とかね。就職して働き始めた時、いきなり『年収2000万円稼がなきゃ!』なんて思わないでしょ? 普通はとりあえず仕事を手に入れたら、少しずつ上を目指して行くって感じだから、食べ物だって一緒で、とりあえずハーブを育ててみる。土地は無くても、ゲリラガーデニング(※)で植えてみよう、とかね。

ちょっと極端に発想しがちになっていて、僕はそれすらも切り離された関係性から生まれてしまうものだと思うんだけど。

僕らは、生まれたときから企業に依存するように教育されているよね。企業=責任者みたいな感じで、『企業は信頼できる。でも、自然は信頼できない』という考え方が普通になっている。でも、企業は自然から全部搾取してきているんだから、そういう発想はすごく変。『消費者』として育てられると、どうしてもそれが当たり前になってくる。僕らは、そういうちょっとおかしなシステムの中に暮らしていて、自然から切り離されているから、なかなか自然を信頼できないんだね。

例えば、僕が外でその辺に生えている木が実をとって食べようとすると、『え!?それ、ほんとに食べられるの!?毒じゃないの!?』とか驚かれるわけ。あまりにも命(自然)から切り離されているから、お店にあるものなら後で何かあっても提供者を訴えられるけど、自然が相手ではそれもできないからね。人間によって作られたシステムや環境の中で生きていると、自然が本当に未知のものになってしまっていて、これが大きな問題だと思う。僕らは常に生態系の一員だから、人間は自分たちと自然とを分けて考えるようになった頃から、おかしくなっていったんじゃないかと思うんだ」。

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※ゲリラガーデニング:一言で言うと、公共の場所に勝手に植物を植える事。公共の場所は、本来行政の場所ではなく、「みんなの場所」だが、税金で作られているそうした場所をもっと自分たちの生活のためにも活用していい、という考え方に基づく活動。

ゲリラガーデニングで、
意識改革の種を撒く

「ゲリラっていうのは、ルールを変えるってことだよね。そもそもルールを守っていたら、現状を維持することになる。でも現状に不満を持っているなら、ルールを変えて行かないと、新しいものは生まれない。東京にも空き地や誰も使わっていない駐車場があったりするけど、生態系的に考えると、それってとても無駄なこと。生命を無駄遣いしている状況ともいえる。ゲリラガーデンというのは、実際土地にアクセスできない人が、そういうところに種を植えるっていう活動。僕の中にも、『命を支えるための当たり前の行為をやって何が悪い!』っていう強い想いがあるんだよね。命を育てる事は最優先でしょ、っていうね。しかも、種は種でも、植物の種を撒くことが本当の目的じゃないんだよ。撒きたいのは『意識の変革の種』。

何度も言うけど、食べ物を育てるっていうことは、凄くみんなにやって欲しいことなんだけど、ゲリラでやるっていうことは、当たり前の日常の中で、当たり前じゃないことをやるってこと。そこで大きな波紋が生まれて、そこから新しい可能性も生まれる。必ずしも期待通りにいくとは限らないけれども、あたらしい現状が生まれやすい土壌は生まれるから」。

東京を変えれば
地球が変わる

「僕が大事にしているのは、今日すべての命のために何が出来るのか、っていうこと。生態系の一員として地球にいて、その生態系をより豊かにするために生きていると思っている。その中で、自分ができることを、毎日やるだけ。僕の命は与えられているものだと感じていて、いろんな命をいただいて初めて生きていられるから、そういう意識の中で、じゃあ今日何ができるか。地球上にいっぱい仲間はいるけど、僕は一応日本支部としてやっている。でも、一番ハイインパクトなのは、東京だと思うんだよね。東京が変われば地球が変わると思うから。

都会って、資源とパワーが集中するし、そもそもそういうデザインになっている。しかも人間という資源が集まる場所。パーマカルチャーって、そこにある資源をいかに有効に活用するかってこと。だからデザイン的に資源が集まる東京で、みんなが『命としてどう生きるか』っていうラディカルなテーマに専念したら、一気に変わると思う。技術力もあるし、お金もあるし、想像力もある。材料も。ただ、今は目標がズレているだけ。みんな消費者として育ってきたから、自分の命がお金という命綱で繋がっていると思い込んでいる。それを切り離して、自分の命がギフトだということを意識して生きれば、凄いことが起こると思う」。


ソーヤー海

東京アーバンパーマカルチャー創始者。1983年東京生まれ、新潟、ハワイ、大阪、カリフォルニア育ち。カリフォルニア州立大学サンタクルーズ校で心理学、有機農法を実践的に学ぶ。2004年よりサステナビリティーの研究と活動を始め、同大学で「持続可能な生活の教育法」のコースを主催、講師を務める。 元東京大学大学院生。パーマカルチャー、非暴力コミュニケーション、禅、ファシリテーションのワークショップを行ったり、気候変動活動x若者のエンパワーメントを海外からの依頼・支援を受けながら楽しく活動している。自称活動オタク。より愛と平和のある社会を自分の生活で実践しながら、社会に広めている。


取材・文/畑山護之(partisan)

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