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「スマート農業」の現状と進む先は?

「IoT」や「ICT」を活用して、安定的かつ高い収量を実現する「スマート農業」は、すでに実用段階に入ったといっても過言ではない。そんな「スマート農業」を近畿大学の星教授が語る。

環境測定で収穫量アップ
経験やノウハウもデータ化

農業(植物生産)のIoT活用に関して、センサで温湿度、光強度、CO2ガス濃度などの環境を測定し、それらの情報を管理法の改善に活用するスマート農業がメジャーになってきました。農業における1990年代のIoT活用で有名なのは、フィールド(圃場)の環境モニタリングを行う「センシング」と通信技術を一体化したセンサネットシステムである「フィールドサーバ」です。

最近ではマイコン、半導体センサなどのデバイスの値段が劇的に安くなっています。
また、無線ネットワークやモバイル技術の革新も肩を押しています。広大な農地にネットワークを張り巡らすには有線ネットワークを使うのが難しいからです。
ここ数年、フィールドサーバのような農業用センサネットワークシステムも、多数の製品が市販され、使われるようになってきました。安いものでは10万円台で買えるようになりました。環境を自動制御できるものも今後増えていくでしょう。

それに伴って、環境データなど、農業現場の様々なデータが計測され、記録されるようになりました。
しかし、そのデータを利用する応用ソフトウェア(アプリ)の性能がまだ追いついていません。単にデータを測るだけではダメで、それを活用して、収量アップや品質向上の改善活動につなげるアプリの開発が必要です。

tomatohouse

ハウスでトマトを周年育てて販売すると、そこそこうまくいって、1年間で1平方メートルだいたい5千円ぐらいの売り上げになります。

仮に20アールのハウスなら約1千万円です。もしIoTで環境を見える化し、アプリで解析して生産環境を改善できると、少なくとも10%くらい収穫量がアップした事例が多いです。それは100万円の売り上げアップになります。5年くらい持つIoT機器とアプリが50万円程度で買えれば、売り上げ増の10%で償却できます。

また、不在時に異常な環境になったら、警報のメールを送信することができるなど、リスク防止や安定生産にもメリットがあります。機器の価格低下に伴い、小規模なハウスなどにもこういった機器がどんどん導入されるようになるでしょう。

高齢化と後継者不足で農業人口は減っています。将来の農業生産を担うのは、若い新規就農者、定年退職者、移民労働者の方たちなどではないか思いますが、全く農業経験の無い場合がほとんどです。
その時に重要な短期的な技術習得、優秀な技術の継承も、IoTのサポートが期待されている分野です。人ではなくロボットに代わってしまっているかもしれませんが。

課題は、優秀なアプリの開発がどれだけできるか。それが、今後は重要になってくると思います。


星 岳彦氏
近畿大学 生物理工学部 教授
施設園芸および植物工場に関する環境制御システム、生産支援システム等を研究を実施。農業情報学会副会長、生物環境工学会理事、スマートアグリコンソーシアム技術顧問などを兼務。


※『EARTH JOURNAL』vol.2より転載

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