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スマート農業を、「儲かる」農業にするには?

ここ数年注目を集めている、農業とITを組み合わせたスマート農業。現場における問題点と今後の課題について、日本総合研究所の三輪泰史氏による講演の内容をレポートする。

今、日本の農業はビジネスチャンス

6月に東京ビックサイトで開催された“次世代エネルギーと新しいまちづくり”がテーマの展示「スマートコミュニティ Japan2016」。その中で、日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト(農学)の三輪泰史氏が「農業IoTが生み出す次世代の儲かる農業~植物工場、農業ロボット、農業AIの可能性~」と題した講演を行い、会場は多くの聴講者で溢れた。

まず、農業産出額・市場規模・就農人口は減少、耕作放棄地は増加し、日本の農業が衰退している現状が報告された。しかし「逆に農業者一人当たりのマーケットと農地が広がり、ビジネスチャンスと捉えることもできる」と三輪氏。日本の農業のV字回復のために「今やるべきスマート農業は、現状の日本の農業の延命策ではなく10年後を見据えたもので、農業を夢が持てるような産業にしなければならない」と続けた。

スマート農業が注目されている背景

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2010年に入り、ICTやIoTなど情報技術が発展したことで、様々な分野でビジネスチャンスが広がっている。農業に関してもロボットや情報技術を取り入れたスマート農業が盛り上がりを見せていて、スマート農業関連の市場規模は2020年に約700億円になるという試算だ。

その背景として、政府が2015年2月に取りまとめた「ロボット新戦略」がある。世界一のロボット利活用社会を目指したもので、それに伴い、農林水産省、内閣府を中心に、総務省や経済産業省、文部科学省などが様々な推進策を打ち出している。

 

スマート農業には高付加価値が大切

【従来型マーケティング】

図表-1
【新たなマーケティング】

図表-2

<単一の高付加価値商品に特化するのではなく、顕在化しつつある多数の高付加価値商品を並行生産するのが、新たなトレンドに。(生産品目は柔軟に変更)>

 
すでに数多くの植物工場が稼働しているが、中には経営が思わしくない企業もあるという。その実情を三輪氏は「スーパーカーで一般道を走っているような状態」と例える。

植物工場が普及したことで無農薬や洗わなくていい野菜が広く出回るようになり、そうした今では付加価値とみなされなくなった生産物に対して設備がオーバースペックなのだ。そこで、今後は珍しいヨーロッパ野菜や高ビタミンいちごなど、ニーズのある新しい価値を探るマーケティング戦略が重要となる。露地栽培を置き換えたものではなく、高付加価値農産物に適した工場こそが次世代型工場のあるべき姿なのだ。

「儲かるスマート農業」実現のポイント

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講演のタイトルにある「儲かる」とは「持続的」ということを意味する。現状のスマート農業は投資額が高く、生産物の付加価値が低いため、経営を持続させることが難しい。加えて、ロボットに互換性がない、法規制があるなどの問題がスマート農業の普及を妨げている。

そこで、農業とICTやIoTを組み合わせてアメリカに次ぐ農業大国となったオランダのヴァーヘニンゲンにある「フードバレー」に学び、大規模な規制緩和と儲かる農業に的を絞った研究開発・実用化、そしてそれをオープンイノベーション化ができるかが、今後の日本のスマート農業のポイントとなってくる。

緯度の高低差が大きく様々な気候がある日本において儲かるスマート農業が確立されれば、農産物を売るだけでなく、技術そのものを世界各国に輸出できる可能性も持ち合わせているため、ビジネスチャンスは益々広がっていくことだろう。


Text:Akiko Okawa

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