次世代農業 TOP生産者の取組み

世界中で続々! オンラインを活用したアグリツーリズム

食と農を体感できるアグリツーリズムは、消費者と農家、そして地域の“三方よし”を実現する観光形態として注目され、各国で市場が拡大しつつある。

各国でオンラインプラットフォームが充実

アグリツーリズムとは、アグリカルチャー(農業)とツーリズム(観光)との造語で、ファームステイ(農場体験)や農家民宿、味覚狩り、農家レストラン、農産物直売所など、都市居住者たちが農場や農村で余暇を過ごすための様々な施設やサービスを指す。

近年、自然とのふれあいを求めるアウトドア派のニーズが多様に増え、若者を中心に、モノよりも体験にお金を使いたがる”体験消費”へと消費傾向がシフトし、食の安全性や透明性への意識の高まりから食や農業に関心を持つ消費者が多くなるにつれて、アグリツーリズム市場も徐々に成長してきた。米農務省によると、2007年から2012年までの間に、米国でアグリツーリズムにたずさわる農家は10,249軒から13,334軒に増え、収益規模も5億4,600万ドル(約568億円)から6億7,400万ドル(約701億円)へと、23.4%拡大している。

とりわけ、オンラインプラットフォームは、アグリツーリズムに関心のある観光客と地方の農家とを効率的につなぐ役割を担ってきた。米国のアグリツーリズム情報を集約した『アグリツーリズム・ワールド』やイタリアの『アグリツーリズモ.it』、オーストリアの『ファーム・ホリデイズ』など、アグリツーリズムに特化した情報サイトが世界各国で開設されている。

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<イタリアのアグリツーリズム情報を集約した『アグリツーリズモ.it』>

また、空き部屋の貸手と借手をマッチングさせるウェブサイト『Airbnb』に代表されるように、個人の遊休資産を個人間で融通し合う”シェアリング・エコノミー(共有経済)”のコンセプトを、アグリツーリズムの分野に応用したオンラインプラットフォームが、『ファームケーション』だ。地方の農家や食品加工メーカー、職人らがベリー摘みやジャムづくりワークショップなどの体験型イベントを投稿し、一般の観光客は、これらの情報をオンラインで検索したり、予約したりできる仕組みとなっている。

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<アグリツーリズム版Airbnbとして注目される『ファームケーション』>

 

アグリツーリズムがもたらす“三方よし” とは?

アグリツーリズムは、観光客、農家、そして地域の”三方よし”を実現しうる観光形態としても注目に値する。旅行者は、都会の喧噪を離れてリラックスし、その地域でしか味わうことのできない郷土料理を楽しんだり、農場の土に触れたり、新鮮な旬の食材を生産者から直接、購入するといったリアルな体験を通じて、食や農業について、より深く知ることができる。
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一方、農家にとっては、収益源が増え、新たな顧客層を開拓できるのはもちろん、農業の現状を伝えたり、よりよい食のあり方などについて広く啓発する機会にもなり、消費者との関係性を深めることができるだろう。さらに、農家や地元事業者の収益が増えれば、地域活性化につながり、ひいては、地域の農業や農地を守り、地方の伝統や有形無形の遺産を保護することにも寄与すると期待される。

実りの秋も、そろそろ、終盤にさしかかってきた。
都会では入手しづらい秋の味覚を直売所で買い求める人、フルーツの収穫を子どもと一緒に楽しむ家族など、様々な人々が農村や農家を訪れるシーズンでもある。このような出会いのひとつひとつが、農家と消費者との関係をより深めるきっかけにもなりそうだ。


Text:Yukiko Matsuoka

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