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集え! 迷える農家の「こせがれ」たち

農家の実家を離れて会社勤めをする「こせがれ」たちは迷っている。親は年老いてきたが、家を継ぐべきか否か? こんな悩みに応える場が都内で毎月開かれている。

悩める「こせがれ」が集う
学びの場

平均年齢67歳。これは農家の平均年齢だ。たとえ跡取り息子や娘がいても、都心に出て会社勤めをしている場合も多い。自分の身体が動かなくなったら、いよいよ廃業して農地を売らなくてはならないのか。こんなふうに悩んでいる農家も少なくない。

だが、悩んでいるのは親世代ばかりではない。実家を離れた子供世代もまた、家業を継ぐべきか今の仕事を続けるべきか、少なからず悩んでいるのだ。

こうした未就農の子供世代を「こせがれ」と呼び、悩みや課題を共有しようと立ち上がったのが「NPO法人農家のこせがれネットワーク」。代表を務める宮治勇輔さん自身、大学卒業後はいったん就職したが、あるとき一念発起して実家の養豚業を継ぐことを決意。株式会社みやじ豚を設立すると、生産は弟に託し、自身は会社の顔としてプロデュースに専念し、家業をトップブランドに押し上げてきた。

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農家のこせがれネットワーク代表の宮治勇輔さん。2009年の設立以来、各地のマルシェ出店や交流会などを通して、こせがれのネットワークづくりに奔走してきた。

実は経済の中心、
ファミリービジネスの魅力

同ネットワークで近ごろ最も力を入れているのが「農家のファミリービジネス研究会」だ。「同族経営」「世襲」というと、とかく古臭いイメージを抱く人もいるだろう。だが、日本ばかりか世界的に見ても、地域経済を支えているのは広い意味でのファミリービジネスだ。

宮治さんいわく、「ファミリービジネスは短期的な利益にとらわれないで済むし、自分の思いを次世代に引き継ぐことができる」。日本の農業の活性化にも、農家のこせがれたちが家業を承継することが一番の近道だと考えている。それが日本の農地を守ることにもつながる。

家業を継ぐことだけが
ゴールではない

研究会の目的は3つ。こせがれにファミリービジネスへの誇りを持ってもらい、経営課題を解決する仲間とつなぐ。さらに、農業界最大の課題である「事業承継」のモデルケースをつくることだ。

宮治さんが考える事業承継のポイントは5つある。人、モノ、お金、情報、そして顧客の承継だ。研究会では、こうしたポイントを宮治さんがレクチャーしてくれるのだが、10年前に家業を継ぎ、まさにファミリービジネスを実践している宮治さんの経験談には説得力がある。

参加者は農家のこせがれのほか、農業以外の家業を持つこせがれや、まったく違うビジネスに従事している人もいる。農業関係者だけのネットワークは多くあるが、異業種の人が集って農家の事業承継について話せるのが研究会の魅力の1つだ。

「多くのこせがれが家業を継いでくれたら、という思いは正直ある」と宮治さん。だが、研究会の目的は必ずしもそこではない。

例えば最近の動きとして「こせがれ第2世代」が生まれていると宮治さんは見る。実家に戻って家業を継ぐのではなく、勤務先のリソースを活用して実家の農業を支える事例が出てきているのだ。企業としては優秀な人材を手放したくない。社会貢献の1つとして、農分野への支援に理解や関心を示す企業が出てきているのだという。

「いずれにしても、継ぐべきか否か迷い続けていると、自分の人生が生きられない。研究会での情報や人との出会いを、意思決定の参考にしてもらえたら」と願っている。

2015年10月の第1回を皮切りに、これまで11回の研究会を開いてきた。6回を1クールとしているが、途中からでも単発での参加も歓迎だという。ぜひ足を運んでほしい。


農家のこせがれネットワーク 公式サイト


取材・文/小島和子

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